分極反転光素子をめざした強誘電ドメイン制御に関する研究
【研究分野】応用光学・量子光工学
【研究キーワード】
ニオブ酸リチウム / タンタル酸リチウム / 選択的核成長 / 擬似位相整合 / 波長変換 / ポーリング / 分極反転 / 第二高調波発生 / 核成長 / ドメイン / 電界印加 / QPM / メイン
【研究成果の概要】
我々がニオブ酸リチウム(LN)系結晶で初めて実現した電界印加による分極反転制御技術は、その周期が微細になると共に、またそのデバイス長が長くなると共に、均一性、再現性などの問題が明らかになってきた。面内で反転過剰、反転不足の領域が混在する原因は核成長の不均一であり、核成長を選択的に誘起することで解決できる。我々はドメインの振る舞いを詳細に調査することにより選択的核成長法を新たに考案し、波長変換デバイスを作製した。分極反転条件の最適化によりアスペクト比(深さ/幅)を250-300まで改善し、周期6-8μmで厚さ1mmの開口をもつ緑色発生用の波長変換デバイスを実現した。使用した材料は一致溶融組成ニオブ酸リチウム、もしくは定比組成タンタル酸リチウム(SLT)である。パルスNd:YAGレーザーの第二高調波発生実験を行ったところシングルパスで変換効率40-66%が得られ、緑色光の最大出力4.4Wを達成できた。
選択的核成長法の研究により、分極反転過程に必要とされてきた「抗電界」の概念に疑問を持った我々は、15年度に、新たに「ゼロ速度電界」なる概念を見いだした。これは分域壁の移動速度がゼロとなる電界で分極反転では重要な特性指数であり、分域壁移動速度がゼロではないためこの電界と抗電界E_c、の間の電界でも分極反転は進行し波長変換デバイスの作製も可能である。特に分域壁移動速度が高いため反転過程の制御が困難であった定比組成LN/LT(SLN/SLT)においては、E_0以上E_c以下の電界を印加することで均一な分極反転に成功した。本手法を用いて波長変換デバイスを作製し、ドメインアスペクト比250をもつ第二高調波発生デバイスを達成し、高出力緑色光発生を実現した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
平等 拓範 | 独立行政法人 物質・材料研究機構 | 分子科学研究所 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
中島 啓幾 | 早稲田大学 | 理工学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
北村 健二 | 独立行政法人 物質・材料研究機構 | 物質研 | ディレクター | (Kakenデータベース) |
庄司 一郎 | 独立行政法人 物質・材料研究機構 | 分子科学研究所 | 助手 |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2001 - 2003
【配分額】3,900千円 (直接経費: 3,900千円)