高圧下での固体電子構造変調によるユニークな光物性発現
【研究キーワード】
蛍光体 / 高圧物性 / 光物性 / 希土類 / 電子構造 / 高圧 / 圧力センサー / Cr3+ / 3d電子 / 遷移金属 / 結晶場分裂 / セリウム / ユウロピウム / 5d軌道
【研究成果の概要】
当初の計画通り,微小蛍光体試料をダイヤモンドアンビルセル(DAC)の中のエタノール-メタノール混合溶媒(高圧下で凍結しない圧力伝達媒体)中に設置し,高圧印可時の試料の蛍光スペクトルの測定系を確立することができた.それにより様々な発光試料の蛍光スペクトルの圧力依存性を測定できる様になった.
電子配置が3d3で2E準位からの鋭いR線発光を示すCr3+イオンを添加したLaGaO3ペロブスカイト蛍光体の作製を行い,そのR線(~730nm)およびN線(~740nm)ピーク波長エネルギーの印可圧力依存性をDACを用いることにより測定した.圧力測定は693nm付近にR線ピークを示すルビー結晶をDAC内に同時共存させて,ルビー蛍光法で行った.LaGaO3中のR線,N線両ピーク波数エネルギーは圧力上昇と共に低エネルギーシフトしたのに対し,ピーク強度比(N線/R線)は上昇,圧力2.3GPa前後で不連続に大きく変化,上昇した.ラマン測定を行うことにより,LaGaO3ペロブスカイトは常圧での直方晶から,2.3GPa以上で菱面体へ相転移していることが確認できた.構造中で頂点共有しているGaO6八面体のチルト角は相転移後に180°に近づき,Gaサイト(Bサイト)を置換しているCr3+イオン同士の酸素を介した超交換相互作用が強まっているため,ペア発光に帰属されるN線の相対強度比が上昇していると考察された.
本成果は国際論文誌であるInorganic Chemistry誌2021年64巻20号に論文 "High-Pressure Photoluminescence Properties of Cr3+-Doped LaGaO3 Perovskites Modulated by Pressure-Induced Phase Transition" を出版された.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
村上 裕美子 (片山裕美子) | 東京大学 | 大学院総合文化研究科 | 助教 | (Kakenデータベース) |
上田 純平 | 京都大学 | 人間・環境学研究科 | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2019-04-01 - 2022-03-31
【配分額】16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)