銅合金の美術着色機構の解明と新着色法の開発
【研究分野】材料加工・処理
【研究キーワード】
金属工芸 / 煮色着色 / 微細構造 / Cu_2O / 結晶 / アルモファス / 微粒子 / 光吸収効果 / Cu / Cu-Ag / Cu-Zn / 着色 / 煮色 / 光吸収 / 電位-電流 / 耐食性 / 表面皮膜 / 黄銅 / 赤銅 / 亜酸化銅 / アモルファス / Au粒子 / 反射・吸収 / 銅合金 / 溶液 / 人口緑青 / 成長速度pH / pH / 拡散
【研究成果の概要】
わが国の伝統金属工芸技術である煮色着色について、着色層の微細構造と着色機構の解明、煮色層の防食効果、新技術の開発の基礎研究を行った。銅合金の煮色着色層の基本構造はCu_2Oで、結晶とアモルファスの混合状態である。アモルファスになるのは、煮色液中から侵入したS、Clなどの不純物などが混入しているためである。Auを含む赤銅では、結晶とアモルファスCu_2O地中に5nm前後のAu微粒子が分散している。黄銅(Cu-30%Zn)ではZnの優先的な溶出がみられ、煮色層中には数%しか残留していない。四分一では、Cu固溶体中のCuが優先的に酸化して結晶およびアモルファスCu_2Oになり、Agは微粒子としてCu_2O中に分散する。Ag固溶体はそのまま残留しているが、極く一部はAg_2Sなどを形成する。着色は地のCu_2Oと微粒子の光吸収効果、地の反射などが復合効果である。
電気化学的な検討では、煮色処理した試料の立上り電位が貴な向きにシフトする。シフト量は合金および試験溶液のpHによって異なるが、腐食に対する抵抗力が増大したことを示す。さらに、煮色層が高次の酸化を受けるときの電子の挙動が明らかになった。
新技術開発の基礎研究では、赤銅の熱酸化法の検討を行い、同様の膜が生ずることを示した。これは今後の研究に役立つものと考えられる。また、煮色前の表面処理法についても検討し、伝統技術を代替する方法の目処がついた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
水流 徹 | 東京工業大学 | 大学院・工学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
杉本 克久 | 東北大学 | 大学院・工学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】1999 - 2001
【配分額】14,200千円 (直接経費: 14,200千円)