コロナ放電によるよどみ流れ場に置かれた弦の自励的横振動
【研究分野】機械力学・制御
【研究キーワード】
線対平板電極系 / 線電極 / 自励的横振動 / コロナ風 / 渦の形成と不安定化 / P.I.V. / 数値計算 / 非導電性の弦 / PIV / コロナ放電 / よどみ流れ / 自励振動 / 線対平板電極 / 線電極の横振動 / モデル実験
【研究成果の概要】
コロナ放電に伴う線電極の自励的横振動の発生メカニズムの解明を目指して,本研究では,線対平板電極系における固定線電極からのコロナ放電により形成される低レイノルズ数のよどみ流れ場に着目した.
第一に,固定線電極直下流側に非導電性の弦を置くと,弦に自励的横振動が発生することを実験により定量的に確認した.すなわち弦の張力を変化させることにより弦の横振動の固有振動数を10種類程度変えて実験を行った結果,弦に発生する自励的横振動は,その振動数が常に基本固有振動数のみからなる.またコロナ放電発生時に印加電圧が低い範囲では,平板電極に平行な横振動が発生する.これらより,非導電性の弦は,コロナ放電に伴うその周辺流体のよどみ流れ,つまりコロナ風による流体力に起因して,自励的横振動が励起されるものと推定される.
第二に,この推論を流体力学的に検討するため,まず固定線電極周囲に発生する非定常なよどみ流れ場を定量的に測定した.すなわち,よどみ流れ場全体の様相をParticle Image Velocimeterにより計測し,固定線電極近傍の一点における流れの時間的変動を二次元レーザードップラー流速計により測定した.その結果,線電極と平板電極との間には,線電極の左右に対称な渦が形成され,印加電圧の上昇と共に不安定となり,水平方向に周期的な揺らぎの発生が明らかになった.また以前に線電極の自励的横振動発生原因の一つと考えられていた,線電極後流内の渦の発生とその剥離は観察されなかった.さらにこの対称渦の形成と周期的な揺らぎの発生は,二次元非定常流れを支配するナビア・ストークス方程式を,MAC法をもちいた有限差分により数値的に解いた結果,理論的にも再現された.
以上,本研究では,コロナ風による線対平板電極間のよどみ流れ場において,線電極直下に置かれた非導電性の弦の自励的横振動は,線電極と平板電極との間に発生する左右対称な渦の不安定化によることが明らかになった.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
吉沢 正紹 | 慶應義塾大学 | 理工学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】1999 - 2000
【配分額】3,600千円 (直接経費: 3,600千円)