モジュール3Dキーノートを用いたゲノム機能予測法の開発
【研究分野】生物物理学
【研究キーワード】
モジュール / ゲノム配列 / 3Dキーノート / 機能予測 / シアノバクテリア / タンパク質立体構造 / データベース / 予測実証実験 / ORF機能予測 / 補酵素 / 基質 / モチーフ
【研究成果の概要】
全ゲノム配列が発表されている生物種は、100種を越えた。生体で機能している高分子は大部分がタンパク質であるため、集積されたゲノム配列にどのような機能を持ったタンパク質があるかを知る必要がある。しかし、ゲノム配列からタンパク質の機能を推定する方法はまだ確立していない。ゲノムにあるORFの約半数は機能が推定できていない。申請者は立体構造が類似であり、機能部位の詳細な構造が類似のリン酸基結合モジュールを、まったく異なる転写因子およびDNA重合修復酵素に見いだしてきた(K.Yura, et al. 1999a)。これらのモジュールのアミノ酸配列には明らかな類似性はないが、立体構造および機能部位が類似していることより、何らかの類似性が配列にあることが期待され、立体構造形成および機能に重要な残基に注目することで、アミノ酸配列のパターンを見いだし3Dキーノートと命名した(Yura, et al. 1999b)。本研究課題では、ゲノム配列中のORFから各種の3Dキーノートと一致する部位を見つける方法を確立することで、ORFの機能推定を行う手法を開発した。平成13年度までに3Dキーノートの作成方法がほぼ確立したのを受けて、平成14年度では、3Dキーノート作成方法の自動化をほぼ確立し、ゲノム配列決定が終了している全ゲノム配列に対して、約200種類の3Dキーノートを適用することができた。それらの予測結果を容易に検索できるようにするためのデータベースを構築し、研究室内において試験運用を開始することができた。また3Dキーノートによる予測結果がどの程度正しいかを実験的に検証するために、シアノバクテリアの実験家に予測結果を提示し、実証実験を開始することができた。現在までに実験結果を予測方法に還元することまでは至っていないが、実験と理論のよい組み合わせを形成することはできた。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2001 - 2002
【配分額】2,100千円 (直接経費: 2,100千円)