タンパク質の機能とモジュールシャッフリング
【研究分野】生物物理学
【研究キーワード】
モジュール分類 / シャッフリング / イントロン / 膜タンパク質 / ペルオキシターゼ / 金属イオン / 核酸との相互作用 / 機能微調整 / ペルオキシダーゼ / モジュール / ゲノム情報 / ヘモグロビン / サブユニット接触 / タンパク質機能 / モジュールシャッフリング / タンパク質相互作用 / 金属イオン結合 / ミニバルナ-ゼ / フィコシアニン / リン酸基結合 / キシラナーゼ / キメラ酵素 / 糖結合 / 3Dキーノート
【研究成果の概要】
タンパク質の機能は全体構造に担われているわけではなく、(1)むしろ局所構造としてのモジュールが機能を担うこと、(2)モジュールを部品として生物が進化の過程で行ってきたタンパク質デザインの実体を明らかとする目的で本研究を開始した。結果として、タンパク質の各種の機能は局所的であり、ほとんどの機能はモジュールにアサインできることがわかった。例えば、(1)ファミリー10キシラナーゼの触媒ドメインにおいて、機能部位はモジュー・ルに局在し、(2)金属イオンの配位子は多くの場合1個または2個のモジュールに局在していた。しかも、構造も機能も全く異なるタンパク質に、立体構造が類似で同様の機能を持つモジュールが頻繁に存在することから、シャッフルされたモジュールである可能性が示された。(3)タンパク質間相互作用が共通のモジュールによって担われているケースも発見した。(4)ヘモグロビンのサブユニット間相互作用は、サブユニット当たり主に2個のモジュールが関わっているに過ぎない。この局在性が、様々な系統におけるヘモグロビンのサブユニット構成の多様性を生む1つの要因であると考えられる。さらに、実験によりモジュールはシャッフリングが可能なユニットであることを示した。例えば、(1)RNasbの一種であるバルナーゼからモジュールM2を欠失させても、天然構造に近い立体構造を形成し、また天然タンパク質に特有の2状態転移を示した。(2)ファミリー10に属する2種のキシラナーゼ間でモジュールM10を交換したキメラ・キシラナーゼにおいて、酵素活性は10分の1に下がったものの、構造と機能が維持されていた。本研究により、モジュールに基づくタンパク質デザインの基本原理の一端を、計算科学と実験科学の両側面から明らかにすることができた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
由良 敬 | 日本原子力研究所 | 計算科学技術推進センター | 研究員 | (Kakenデータベース) |
高橋 健一 | 名古屋大学 | 大学院・理学研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】1999 - 2002
【配分額】14,500千円 (直接経費: 14,500千円)