細胞種特異的アダプター(AP)複合体の細胞および個体レベルでの機能解析
【研究分野】構造生物化学
【研究キーワード】
小胞輸送 / 神経細胞 / 上皮細胞 / 胃酸分泌障害 / SNAP25 / AP複合体 / ノックアウトマウス / 輸送シグナル / チロシンモチーフ / 細胞内局在 / 極性輸送 / 遺伝子欠損マウス / てんかんけいれん / GABA / 細胞・組織 / 蛋白質 / 細胞内輸送 / 細胞生物学
【研究成果の概要】
神経細胞および上皮細胞という、高等多細胞生物に特徴的であり、かつ高次機能の一端を担う細胞群の機能を、それぞれの細胞種に限局して発現しているAP複合体を中心に、細胞および個体レベルで解析した結果以下のような成果が得られた。
1.腸管間質に発現する転写因子、Foxl1欠損マウスでは胃酸分泌障害が認められる。静止時の胃壁細胞では、プロトンポンプであるH,K-ATPaseが細胞内顆粒に留まっているが、胃酸分泌刺激時には顆粒が細胞膜と融合してH,K-ATPaseが細胞表面に移行することにより酸分泌が起こる。Foxl1欠損マウスでは野生型マウスに比較してSNAP25の発現のみが著明に減少しており、その結果として胃酸分泌障害の主な原因となっていることが示唆された。
2.神経細胞特異的輸送制御因子、AP-3B複合体欠損マウスを樹立解析した結果、(1)てんかん様の可逆性けいれん発作が認められること、(2)シナプス終末およびシナプス小胞の形態および数が異常であること、(3)抑制性神経伝達物質であるGABAの放出障害が認められること、(4)GABAトランスポーターであるVGATのタンパク量が減少していること、(5)電気生理学的検討の結果、神経興奮伝達が異常に亢進していること、が明らかとなった。したがって、AP-3B欠損マウスの脳では抑制系の障害の結果神経伝達が異常亢進し、結果としててんかん発作を発症すると考えられた
3.培養細胞レベルでの研究では、AP-2は細胞の生存そのものには必須ではないと考えられていた。しかし、これらの実験ではAP-2が完全に欠失しているわけではなく、細胞の生存にはこの残されたAP-2で十分という可能性がある。そこで、AP-2遺伝子欠損マウスの樹立を試みたところ、発生ごく初期に致死であることから、AP-2は細胞の生存に必須であることが明らかとなった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
長谷 耕二 | 独立行政法人理化学研究所 | 免疫系構築研究チーム | 研究員 | (Kakenデータベース) |
村上 貴哉 | 独立行政法人理化学研究所 | 免疫系構築研究チーム | 研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2003 - 2005
【配分額】14,700千円 (直接経費: 14,700千円)