有機・無機ハイブリッド化合物におけるプロトン-電子連動の光制御
【研究分野】機能・物性・材料
【研究キーワード】
プロトン / 水素結合 / 電荷移動錯体 / 有機・無機ハイブリッド化合物 / プロトン-電子連動 / 光制御 / 電子-プロトン連動 / 電荷移動型錯体 / 分子機能 / 光抑制 / 脱プロトン / プロトン移動 / 電子移動 / 光誘起相転移 / 一次元金属錯体 / 水素結合型錯体 / トンネル効果 / 絶縁体-金属転移 / 赤外パルスレーザ
【研究成果の概要】
水素結合ネットワークを利用して結晶構造を制御しながら、同時に水素結合と強い相関をもつ電子状態を創造すると、そこには電子と水素結合間の相互作用に基づく新しい機能性が生まれる可能性があり、これらの物性探索は興味ある研究対象である。本研究の目的は、水素結合を含む有機無機ハイブリッド化合物を対象として、そこでの電子-プロトン相互作用の内容を解明するとともに、この相互作用を化学的および光学的に制御することによって生まれる新しい素子機能の開発を行うことにある。
本研究においては特に[Pd(H2EDAG)-(HEDAG)]TCNQの水素結合型一次元電荷移動錯体に注目し、極低温や超高圧の条件を含めたX線構造解析、可視・赤外・遠赤外分光(吸収、反射、発光および光誘起吸収反射測定)、ラマン散乱、電気抵抗測定、光電導測定、ESR、光誘起ESR、帯磁率測定等、広い視野からの基礎物性研究を行った。その中で注目される研究成果は、結晶育成中において溶液中のpH濃度を制御することにより、結晶が脱プロトンされた不完全なイオン結晶;[Pd(H2-xEDAG)(HEDAG)]-(HEDAG)(HEDAG)]+(1-x)TCNQ-(1-x)(x=0.7)が得られ、180Kにおいて水素結合格子の融解、つまり、固体中でも溶液中と同じようなプロトンの"ゆらぎ"が生じると共に、ヒステリシスをもった金属-絶縁体相転移が観測されたことである。この結果は、温度因子の解析も含めたX線構造解析および半経験的分子軌道計算の結果と定性的に一致する。これらの実験事実は、電子-プロトン連動に基づく新しいタイプの電磁応答性、さらにはレーザ光による物質変換の可能性を実証するものである。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
安 正道 (安 正宣) | 北陸先端科学技術大学院大学 | 材料科学研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
北川 宏 | 北陸先端科学技術大学院大学 | 材料科学研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
岩佐 義宏 (岩佐 義広) | 北陸先端科学技術大学院大学 | 材料科学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】1996 - 1998
【配分額】8,400千円 (直接経費: 8,400千円)