ミミズと植物生育連鎖の協同効果を利用する土壌修復技術の新展開
【研究分野】環境技術・環境材料
【研究キーワード】
ミミズ / 土壌 / レメディエーション / 生態影響評価 / 石油成分 / 生体影響評価
【研究成果の概要】
近年、土壌や地下水の硝酸汚染が全国的に顕在化しており、主たる原因として農業で用いられる肥料があげられている。酪農活動によって生じる排泄物も肥料として牧草地にまかれているため、硝酸汚染の原因として数えられる。従って、硝酸汚染を解決するためには、土壌に投与された窒素化合物が植物(農作物・牧草)へ移行する割合を高める必要がある。土壌は様々な生物からなる複雑な生態系であるが、中でも大型の土壌生物であるミミズは、土壌中の有機窒素を無機化することによって、植物の成長を促進し、土壌中にトンネルを掘ることによって根圏付近の生育環境を整えることが知られている。本研究は、ミミズの働きを通じて土壌中窒素の植物への移行過程を制御し、これによって硝酸汚染の軽減を図ることを目的として行われた。
本年度の前半では、有機体の窒素およびリンの挙動にミミズが及ぼす影響について検討した。有機体窒素としてはアミノ酸であるグリシンの単量体および三量体を用いた。また、有機リンとしてはフィチン酸を用いた。その結果、有機窒素及びリンの動態は、ミミズの生息により無機体よりも顕著に影響されることが明らかになった。いずれの元素においても、ミミズの活動により無機化が促進されていることが示された。特に、分解が難しいとされているフィチン酸の分解がミミズの生息によって促進されることは興味深い結果であった。
本年度の後半では、植物を加えた系での実験を行った。現在、ミミズの生息が植物による栄養塩の取り込みに大きな影響を与えることが明らかにされつつある。今後は、より長期的な試験を行うことが必要である。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
中野 義夫 | 東京工業大学 | 大学院・総合理工学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2004 - 2005
【配分額】2,900千円 (直接経費: 2,900千円)