バーチャル空間における機能性分子創製法の確立とその実験的検証
【研究キーワード】
分子設計 / 抗体 / ペプチド / 物性計測 / 機能計測 / シミュレーション / 機械学習 / タンパク質工学 / 抗体設計 / 分子シミュレーション / ペプチド設計 / 蛋白質工学 / 親和性成熟 / 熱安定性 / 凝集性
【研究成果の概要】
2019年度は、(1)抗体の物性解析、(2)抗体の親和性成熟過程の解析、(3)ペプチドの分子設計、(4)リン酸基に対する蛋白質の分子認識機構の解析の4項目を実施し、それぞれ以下の成果を得た。
(1) 抗体の熱安定性を上げることに成功した。一方で、一部の抗体では、分子設計により熱安定性の向上は見られたものの、抗原に対する親和性は低下してしまった。現在、その原因を分子シミュレーションにより精査している。
(2) 抗体の親和性成熟過程での熱安定性と抗原への親和性の関係性を明らかにした。実験測定に加え、分子シミュレーションを用いて抗体の物性変化と構造ダイナミクスの関係も明らかになりつつある。
(3) 非天然骨格を持つペプチドの分子設計に成功した。分子シミュレーションを用いることで、溶液中での挙動を考察した。また、天然のアミノ酸のみから構成されるペプチド断片をスキャフォールド蛋白質に移植することで、どの程度構造変化が起こりうるのかを解析した。移植したペプチド断片が目的の二次構造を取るために必要な因子を同定しつつある。
(4) わずか一個の水素が付加されるだけで、リン酸基に対する蛋白質の分子認識様式が変化しうる可能性を示した。リン酸基がPO3(-2)の状態では、その官能基の持つ対称性のために、リン酸基が蛋白質と結合した状態を維持したまま、容易に回転することができる。一方で、PO3H(-1)の状態では、そうした対称性が失われるため、官能基側鎖の回転が難しくなる。翻訳後修飾によるアミノ酸側鎖のリン酸化は、生体内で普遍的に見られる現象であり、生体内でのそうしたリン酸化状態の異常は即疾患につながる。本研究による成果は、リン酸基を特異的に認識する蛋白質の分子設計に役立つことが期待される。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
田部 亜季 | 東京大学 | 大学院工学系研究科(工学部) | 特任助教 | (Kakenデータベース) |
森本 淳平 | 東京大学 | 大学院工学系研究科(工学部) | 講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)