社会のデジタル化に対応した租税実体法および租税手続法のあり方に関する研究
【研究キーワード】
デジタル課税 / 国際的最低税率 / BEPS 2.0 / 国際的租税回避 / デジタルプラットフォーム / 法人税 / 国際課税 / 経済のデジタル化 / プラットフォーム / シェアリングエコノミー / デジタル / 所得課税 / 売上税
【研究成果の概要】
2021年10月、OECDにおいて約140カ国からなる包摂的枠組加盟国は、国際課税における画期的な合意に達した。すなわち、これらの加盟国が「経済のデジタル化に伴う課税上の課題に対処するための二本の柱からなる解決策に関する声明(Statement on the Two-Pillar Solution to Address the Tax Challenges Arising from the Digitalisation of the Economy)」に参加したのである。
本年度の研究では、これら合意に至る経緯をフォローすると同時に、合意内容の検討を行った。合意に至った。とりわけ、OECDとアメリカとの関係に関する考察が重要であった。合意はアメリカを取り込むことで実現したといえるからである。
OECDの議論は、アメリカの税制改正案に影響を与えている可能性がある。例えば、UTPRに類似するSHIELD(Stopping Harmful Inversions and Ending Low Tax Developments)(Undertaxed Payment Rule)という制度において、ミニマム税率に達しているか否かの計算には、財務会計データが使われることになっている。この点について、アメリカはOECDの基準を意識しているようにみえる。
また、OECDにおいてアメリカの主張通りに事が運んでいない部分がある。アメリカからすれば、第1の柱は、ヨーロッパの製造業を対象外としつつ、アメリカのデジタル企業を狙い撃ちする制度として映る。しかし、グローバルな最低税率導入のために、アメリカは第1の柱における利益Aに対する課税を受け入れなければならなかった。そうであるにも拘わらず、アメリカが第2の柱で確保できた最低税率は15%であって、当初目指していた21%ではなかった。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2025-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)