普遍的リボヌクレアーゼを介した新規バイオフィルム形成制御機構の解明
【研究キーワード】
リボソーム / リボヌクレアーゼ / バイオフィルム / RNase
【研究成果の概要】
大腸菌リボソームの不活性化に関わる因子であるRMF、HPFを、Hisタグを付加した形で大腸菌にて高発現させた後、Ni-NTAカラムを用いて個々に精製した。これら精製RMF, HPFを70Sリボソームに作用させることで、不活性型リボソーム(100Sリボソーム)を調製した。正しく100Sリボソームが形成されていることを、スクロース密度勾配遠心法を用いて確認した。ここで調製した100SリボソームをRNase Iに作用させた後、RNA分解活性をin vitroで測定した。その結果、細胞から調製したリボソームを用いて行った際と同様、100Sリボソームを作用させた際に、70Sリボソームより強いRNase I阻害活性を示した。また、70Sリボソームであっても、ある程度RNase Iに対する阻害能を示すが、翻訳中の70Sリボソームでは、RNase Iの活性をほとんど阻害しなかった。このことから、RNase Iを効率よく阻害出来るリボソームは、翻訳に従事していない分子であることが示唆された。
公的データベースに登録されていたマイクロアレイ解析の結果から、RNase I欠損株では、鞭毛および線毛合成が亢進することが示唆された。そこで、RNase Iおよび鞭毛、あるいは線毛を構成する因子の遺伝子破壊株を作製した。これら二重破壊株は、RNase I単独欠損株と比較して、低いバイオフィルム形成能を示した。このことから、RNase I欠損株における高バイオフィルム形成能には、鞭毛および線毛が関与することが示唆された。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2020-07-30 - 2023-03-31
【配分額】6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)