これまでの分子系統学的解析から、エイズの原因ウイルスHIV-1は、約100年前に、チンパンジーでは弱毒性を示すSIVcpzがヒトに侵入・適応進化することにより誕生したと示唆されている。しかし、SIVcpzがHIV-1としてヒトへの適応進化を遂げた分子メカニズムは不明である。そこで本研究では、SIVcpzのヒトへの適応進化過程を再現し、その進化過程を解明することを目的とした。本研究の結果から、元来ヒトへの適応性のきわめて高いSIVcpzがヒトに伝播し、パンデミックHIV-1へと変貌したことが示唆された(Sato et al, J. Virol. 92, 2018)。