バクテリオファージ頭部と尾部の結合に関わるネックの構造形成
【研究分野】生物物理学
【研究キーワード】
バクテリオファージ / 分子集合 / 超遠心分析 / 静的多角度光散乱 / 蛋白質間相互作用 / ネック蛋白質 / X線結晶構造解析 / ウィルス
【研究成果の概要】
T4ファージの分子集合においてDNAの頭殻へのパッケージングが終了すると、DNAの入った入り口をふさぐようにネックが構築される。ネックはgp13(gpはgene product)とgp14からなり、それぞれ309および256アミノ酸からなり、分子量はそれぞれ41,226および32,868である。ネックには後に尾部が結合する。本研究では、ネックの構造およびネックにおけるサブユニットの配置を明らかにするために、両蛋白質をコードする遺伝子をPCR法によりクローニングした後、大量発現系を構築し、IPTGにより発現を行った。精製には硫安分画、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーを用い、SDS電気泳動で単一バンドに精製した。遠紫外円二色性スペクトルを測定した結果、gp13がαヘリックスに富む蛋白質であるのに対して、gp14はβシートに富む蛋白質であることが分かった。超遠心分析沈降速度法を行った結果、両蛋白質は溶液中で均一な単量体であり、沈降係数はそれぞれ2.80Sおよび2.00Sであった。摩擦比はそれぞれ1.22および1.73と求められ、gp14はgp13よりもやや細長い蛋白質であると考えられる。両蛋白質は生理的な条件下では相互作用しなかったが、0.8M硫安処理によって16.6Sの特異的な複合体を形成することが分かった。複合体の分子量497,000とSDS-PAGEの結果から、本蛋白質は(gp13)_10(gp14)_5のヘテロ15量体であると考えられる。この複合体は両蛋白質を共発現させたときに生じる複合体と同一のものと考えられる。電子顕微鏡観察によれば、本蛋白質は直径156Åのリングを形成し、これは電子顕微鏡画像からの三次元再構成像によるネックの電子密度と一致した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
金丸 周司 | 東京工業大学 | 大学院・生命理工学研究科 | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2006 - 2007
【配分額】4,110千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 510千円)