エピゲノム理解を目指した1分子レベル・クロマチン凝縮プロファイル動態解析技術開発
【研究キーワード】
マイクロ流体デバイス / エピゲノム / クロマチン / 染色体 / 1細胞解析 / エピジェネティクス
【研究成果の概要】
溶液の塩濃度を生理的塩濃度よりも少し高くすると、静電相互作用が弱められた結果、染色体を構成しているタンパクの一部が解離をはじめ、染色体が穏やかに解きほぐれてくることが知られている。本研究課題においては、この染色体が穏やかに解きほぐれた際に観察される、クロマチンファイバーに沿った凝縮/脱凝縮部分の分布及びその動態とヒストンタンパクの化学修飾の分布との相関を1細胞・1分子レベルで解析する手法を新奇マイクロ流体デバイス開発を通じて実現する事を目指している。
本年度は、昨年度に引き続き、解きほぐした染色体に張力が均一な直線状の形態を取らせるための、微小構造を持つマイクロ流体デバイスの開発・改良に取り組んだ。クロマチンファイバー(解きほぐした染色体)の両端を抗体修飾マイクロビーズを介して微小構造へ固定した後、溶液条件の変更などによりクロマチンファイバーが更に解きほぐされ、撓んだ形態となったときに、改めてクロマチンファイバーを直線状形態にすることができるよう、マイクロ流路中に微小構造を複数個配置し、それらの微小構造への固定を可逆的にできるようにした。ここで、クロマチンファイバー及びクロマチンファイバーを捕捉しているマイクロビーズが微小構造へ吸着してしまうという問題が生じたため、マイクロ流路内を中性高分子でコーティングする方法を開発した。これにより、クロマチンファイバー及びクロマチンファイバーを捕捉しているマイクロビーズが微小構造へ吸着する現象を抑えることができた。
また、染色体をマイクロ流路内で操作するために用いている光ピンセットシステムを改良し、クロマチンファイバーにかかっている力を計測できるようにした。これにより、クロマチンファイバーの伸びと張力との関係を調べることを達成した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)