オルガノドライブラリーの構築による消化器疾患形質の統合的理解
【研究分野】消化器内科学
【研究キーワード】
大腸がん / 膵がん / 胃がん / オルガノイド / Wntシグナル / 幹細胞
【研究成果の概要】
消化器組織は、腫瘍などの様々な疾患を発症する。しかし、解析プラットフォームの欠如のため、ヒト消化器組織の病態の理解は立ち遅れている。我々は、消化器疾患組織を体外で培養できる、オルガノイド技術を駆使し、疾患の発症メカニズムの理解と新しい治療法の開発に取り組んだ。潰瘍性大腸炎、胃がん、大腸がん、膵がん、内分泌細胞がんなど、様々な消化器疾患組織からオルガノイドを樹立し、国内外の研究者が研究できるバイオバンクを構築した。また、消化器疾患組織オルガノイドの分子プロファイル解析を行い、疾患の生物学的な特徴との関連性を解析した。さらに、ゲノム編集技術や動物モデルを用い、新しい消化器疾患の理解を深めた。
【研究の社会的意義】
消化器疾患は、近年増加の一途にある潰瘍性大腸炎や本邦のがん死亡原因の大部分を占めており、病態の理解と治療法開発が急務である。本研究成果は、ヒト疾患組織を直接的に研究するアプローチをとっており、従来の動物モデル研究とは一線を画す研究を展開した。 研究代表者らは、疾患組織の生物学的な形質に着目し、その遺伝子変異や遺伝子発現ネットワークレベルでの理解を深めた。研究成果はNature, Cellなどの一流誌に掲載され、国内外での高い評価を受けた。さらに、培養技術や治療方法などの知財を取得し、今後の本邦の研究開発に資するという観点から社会的なインパクトも大きい。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(S)
【研究期間】2017-05-31 - 2022-03-31
【配分額】206,700千円 (直接経費: 159,000千円、間接経費: 47,700千円)