アポトーシス関連分子による前立腺癌悪性度進展の分子機構の解析
【研究分野】人体病理学
【研究キーワード】
前立腺がん / 細胞死 / シグナル伝達 / 前立腺癌
【研究成果の概要】
近年、我が国においても前立腺癌が増加しつつあり、その悪性度と細胞増殖、細胞死との関連が注目され、その機序の解明が求められている。本研究は、腫瘍細胞の増殖、細胞死と種々のシグナル伝達分子の発現や活性の解析を行い、前立腺癌の増殖、細胞死の分子機構を明らかにすることを目的とする。これらの成果は、高悪性度の前立腺癌の新たな診断法、治療法開発につながるものと考えられる。
ヒト前立腺癌手術材料(全摘)約100例に対して、STAT3とその活性化型であるリン酸化型(Tyr705)STAT3の発現を免疫組織化学にて検討した。両分子の発現と組織学的grade(Gleason score)、予後(再発率、PSA再上昇率)との相関を解析した。その結果、STAT3のリン酸化は病期、Gleason score、被膜浸潤と相関するが、脈管侵襲や神経周囲浸潤、精嚢浸潤とは相関しなかった。また、リン酸化型STAT3を高発現する腫瘍では、PSA再上昇率が高値であった。これらの結果からSTATを介するシグナル伝達系が前立腺癌の生物学的特性に関与していることが示唆された。更に、STAT3シグナルの上流に位置するIL6受容体やIL11受容体などのサイトカイン受容体やHGFの受容体であるc-Met、Aktとその活性化型であるリン酸化型Aktや細胞外マトリックスであるlamininの発現に関しても免疫組織学的に検討した。今後、これらのシグナル伝達経路とアポトーシスを調節する分子(特にBcl-2関連分子)との関連を前立腺癌細胞で検討していく予定である。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2003 - 2005
【配分額】3,400千円 (直接経費: 3,400千円)