ヒトES細胞へのスター型カチオン高分子による新規遺伝子導入法の開発と血管再生医療
【研究分野】循環器内科学
【研究キーワード】
ES細胞 / 再生医療 / ベクター / 内皮細胞 / 血管平滑筋細胞
【研究成果の概要】
我々は、マウスES細胞より内皮細胞と血管平滑筋細胞の双方への分化が可能な"血管前駆細胞Vascular Progenitor Cells(VPC)"の単離同定に成功した。最近我々は、ヒトES細胞からのVPCの同定にも成功した。ヒトES細胞由来VPCはTRA-1-、VEGFR-2+、PDGFR+、VEカドヘリン-の細胞であった。ヒトES細胞由来VPCは継代増幅が可能であり、血管内注入でも高い生着性を示したが、臨床応用には更に高効率の増幅と生着能の向上が望まれる。そのため本研究では研究分担者中山が開発した分枝型(スター型)カチオン高分子ベクターを用い、血管再生遺伝子をVPCに導入し、ヒトES細胞を用いた質の高い遺伝子細胞治療法を開発することを目的とした。本年度の研究により以下の成果を得た。我々が血管再生作用を有することを報告した血管拡張ホルモンであるアドレノメンジュリンがin vitroでヒトES細胞由来VPCから内皮細胞への分化を促進することが明らかとなった。更に我々が開発したアドレノメジュリントランスジェニックマウスへのVPCの移植実験よりin vivoにおいてもアドレノメジュリンはVPCから内皮細胞分化を促進することも示された。そこで、アデレノメジュリン遺伝子をスター型カチオンベクターを用いて、ES細胞へ高効率で遺伝子導入することでES細胞由来VPCによる血管再生の効率を上昇させることを計画した。スター型カチオンベクターによる遺伝子導入効率はpRL-CMVVectorを用いてルシフェラーゼ活性を測定することで評価した。その結果COS7細胞が3541〜4209(平均3880)と高い活性を示したのに対し、マウス未分化ES細胞では22〜154(平均114)と効率的なtransfectionは不可能であった。ES細胞由来VEGFR2陽性細胞では平均440と未分化ES細胞に比し高い活性を得られたが、従来の遺伝子導入方に比べて十分に効率的な成果は得られなかった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
中山 泰秀 | 国立循環器病センター研究所 | 生体工学部 | 室長 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2005
【配分額】3,400千円 (直接経費: 3,400千円)