脳虚血後早期のMRIによる遅発性神経細胞死の予測に関する研究
【研究分野】脳神経外科学
【研究キーワード】
脳虚血 / 神経細胞死 / MRI / ラット
【研究成果の概要】
MRI撮影条件については正常ラットを用いて予備実験を行った。遠隔部よりガス麻酔薬の吸入および人工呼吸ができるシステムを作成した。Varian7.05Tの動物実験用MRIを用いてspin echo法で脳のT1強調画像、T2強調画像、diffusion強調画像、erfusion imageを撮影した。また、apparent dirrusion coefficientを算出し、そのmappingを行った。ラットの固定装置を考案しその画像の精度を上げた。
まずラットの一過性中大脳動脈閉塞モデルを用い、虚血中、再開通早期のMRI所見と2週間後の病理組織所見を比較し、MRI所見により梗塞の範囲が予測可能であるが検討することを目的とした。予備実験として遅発性脳梗塞の起こる虚血時間を調べた。300gのオスラットを用い、片側内頚動脈をクリップで閉塞し、同時に露出させた片側中大脳動脈を10-0ナイロン糸で一時的に閉塞し、一過性中大脳動脈閉塞モデルを作成した。虚血時間は30分、60分とした。14日の再潅流時間の後に灌流固定して脳を取り出し、パラフィン切片を作成しでH-E染色した。30分の脳虚血では脳梗塞の発生する頻度が低く、60分虚血の方がよいと考えられた。次いで脳梗塞発生の時間経過を調べるために、60分虚血後1、3、7、14日の再潅流後に脳梗塞の発生を検討した。梗塞の発生はすでに1日目に決定されており、大脳の遅発性脳梗塞の概念は誤りであることが判明した。
ついで動物実験モデルとしてスナネズミ海馬の遅発性神経細胞死モデルを用いてそのMRI所見を解析した。虚血後2日目に撮った海馬のMRIでは海馬CAlの内側部でT2強調画像でhighintensityになっていた。神経細胞死に陥った領域をきわめて早期に検出できることが判明した。
【研究代表者】
【研究種目】奨励研究(A)
【研究期間】1997 - 1998
【配分額】2,000千円 (直接経費: 2,000千円)