三次元組織の血管化と持続的な培養を実現する人工ヒト血管床の開発
【研究キーワード】
血管床 / 灌流 / 3次元血管網 / オルガノイド / マイクロ流体デバイス / MEMS / 人工血管ベッド / 3次元組織構築
【研究成果の概要】
本研究は、3次元組織に人工血管網を導入することでin vitroにおける長期組織培養を可能とする人工ヒト血管床デバイスを開発することを目的とする。2021年度は下記項目①、②に取り組み、灌流培養可能な人工ヒト血管床をマイクロ流体デバイス上に構築する。2022年度は、構築した人工血管床デバイスの機能評価並びに3次元組織と血管床との連結を試みる。
①人工ヒト血管床構築方法の検討
プロトタイプの人工ヒト血管床デバイスを用いて、マイクロ流路と血管網との吻合率の向上を目指した条件検討を行った。共培養する線維芽細胞の播種密度の最適化や血管床に接する培地流路中に血管新生を促進するgrowth factorカクテルを添加することで、吻合部の形成効率に改善が認められた。また、HUVEC以外の数種の血管内皮細胞についてもデバイス上で管腔構造を持つ自発的な血管網の形成が認められ、血管床構築に利用可能な内皮細胞を新たに見出した。ヒトiPS細胞由来血管内皮細胞についても検討を行ったが、管腔形成能が低くiPS細胞株の選別または分化誘導条件のさらなる検討などが必要であることが判明した。
②人工ヒト血管床灌流手法の検討
項目①で作製した血管床の灌流培養手法を確立するため、プロトタイプデバイス(マイクロポストタイプ)およびトランズウェルタイプの血管床デバイスを用いて、灌流手法の検討を行った。蛍光マイクロビーズを培地に添加することで血管網内の流れを可視化した。いずれのデバイスにおいても血管網全体を灌流するには至っておらず、より効果的な送液を可能とする灌流デバイスを設計する必要が生じた。現在、3Dプリンタを用いて作製したデバイスを用いて血管網の灌流方法について引き続き検討を行っている。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
聶 銘昊 | 東京大学 | 大学院情報理工学系研究科 | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2021-07-09 - 2023-03-31
【配分額】6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)