先進的MRリンパ管造影と光音響、立位CTが切り開くリンパ管疾患の革新的診断と治療
【研究キーワード】
MRリンパ管造影 / MR lymphangiography / リンパ管造影 / リンパ浮腫 / リンパ管 / MRI / 光音響 / リンパ管疾患
【研究成果の概要】
本研究は先進的なリンパ管イメージングモダリティを用いてリンパ系を可視化し、新規画像診断法を確立し、リンパイメージングのレベルを押し進める事を目指している。
本年度の成果として、下肢リンパ浮腫患者のMR lymphangiography (MRL)所見と臨床データを解析し、下記の新たな知見が得られ、論文や学会で報告した。
従来、下肢のリンパ浮腫でMRL所見が重症度や解剖学的部位によってどのように変化するかは未知であり報告されていなかった。本研究ではMRL画像の解析と臨床所見の対比を行う事で、部位や臨床病期に応じて変化する特徴的なdermal backflow (DBF)とリンパ管の描出パターンを明らかにした。またその結果に基づき新たにMRLによるリンパ浮腫のステージングシステムを提唱した。これらの知見は、より詳細なリンパ浮腫の病態生理の解釈や疾患の進行状況の評価に役立つと考えられる。また、MRL特有のDBFとリンパ管の描出パターンが明らかとなり、特にDBFパターンは他検査と大きく異なる事も示された。MRLステージングは、リンパ浮腫患者の新たな層別化を可能にし、またMRLの優れた末梢リンパ管の描出能と相まって、治療法の選択、手術プランニング、研究に役立つと考えられた。
本研究の成果はJ Vasc Surg Venous Lymphat Disord. 2022 Mar;10(2):445-453.e3に論文として報告したほか、磁気共鳴医学会の学術奨励賞、日本リンパ浮腫治療学会総会の優秀演題賞の受賞に至った。また9th International Congress on MRI & 26th Annual Scientific Meeting of KSMRM (ICMRI 2021)のinvited lectureとしても発表した。
【研究代表者】