膵ベータ細胞の増殖調節機構の研究
【研究分野】代謝学
【研究キーワード】
糖尿病 / シグナル伝達 / 膵ベータ細胞
【研究成果の概要】
1.IRS-2発現・タンパク量調節の分子機序解明:マウス膵島や単離膵島を用いた実験より以下の事実を見出した。A.膵島IRS-2発現は主としてグルコース刺激によって正に制御されている。B.このグルコースによるIRS-2発現増加はグルコース代謝とカルシウム流入を必要とする。C.グルコースによるIRS-2発現増加は転写因子CREBの活性化を必要とする。D.グルコースによるCREBの活性化、IRS-2の上昇はPKAでなく、カルモジュリン依存キナーゼの役割が大きいことを見出した。
2.膵島代償増殖におけるグルコース・IRS-2経路の重要性:肥満糖尿病マウス(ob/ob、db/db、KK-Ay,KK/Taマウス)の膵島において、膵島が代償性増殖を起こしている時にはCREBが活性化しておりかつIRS-2量が増殖しており、この経路が膵島の代償性増殖に果たしている役割が確認された。
3.IRS-2の膵島代償性増殖における役割:既報(J Clin Invest. 2004;114:917-27. Diabetes. 2000;49:1880-9.)に加え、代償性膵島増殖障害を来たす膵臓特異的グルコキナーゼ欠損マウスの膵島にIRS-2を過剰発現させることにより、代償性増殖をある程度回復させえることを示した。
4.DNAマイクロアレイによる探索:代償性増殖を起こしている膵島の網羅的遺伝子解析を行い、発現量が有意に変化している遺伝子群を300以上同定した。
【研究代表者】