CRPS発症と慢性化に関わる局所炎症反応と生理活性脂質の役割の解明
【研究分野】麻酔科学
【研究キーワード】
脂質 / 疼痛学 / 神経科学
【研究成果の概要】
CRPSリスクのある術後痛モデルで創傷部生理活性脂質を解析した。アラキドン酸由来脂質と抗炎症作用があるEPA由来脂質が増加した。炎症 性と抗炎症性脂質の産生バランスが術後痛に影響することが示唆された。リゾホスファチジン酸LPAの急性痛と腰部脊柱管狭窄症(CEC)への影響を産生経路と共に検討した。急性痛反応はLPA受容体拮抗薬投与により抑制され、急性痛にLPAシグナルが関与していることが分かった。CECモデルでは脳脊髄液中で特定のLPA種が対応する前駆体LPC種と共に増加した。LPCは圧迫損傷が誘発された局所領域で検出され、LPCから変換酵素ATXによってLPAが産生されたことが示唆された。
【研究の社会的意義】
定量が難しく病態での役割解明が困難であった生理活性脂質について、微量組織から多種脂質分子を同時定量できる測定系を用いて信頼性の高い脂質定量情報が得られた。副作用の多い非ステロイド性鎮痛薬以外の鎮痛薬ターゲットの探索が期待される。
通常では髄液検出がほとんどされないLPAと前駆体LPCが、腰部脊柱管狭窄症モデル髄液で早期より検出された。難治性神経障害性疼痛の治療ターゲットとして髄液におけるLPA産生経路が提示された。これらの結果は神経障害性疼痛患者髄液中のデータと同様であり、このモデルが難治性疼痛発生におけるLPAシグナル伝達の役割を評価するのに適切であることが分かった
【研究代表者】
【研究分担者】 |
山田 芳嗣 | 東京大学 | 医学部附属病院 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2017-04-01 - 2020-03-31
【配分額】4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)