MRI・CT所見と臨床・神経検査所見を根拠にした小動物の脳疾患局所診断学の確立
【研究分野】臨床獣医学
【研究キーワード】
MRI / 犬 / 脳疾患 / 局所診断 / 神経学的検査 / 臨床検査 / MRI標準断層面 / CT / 標準断層面
【研究成果の概要】
犬の脳疾患MRI撮像における標準断層面を求めて、犬の長頭種,中頭種,短頭種を通じて最も変異の少ないMRI標準断層面を調べ、前脳では中心交連間面,脳幹では第四脳室底面であることを証明した。
過去4年間にわたり蓄積されたMRIデータの分析は、超伝導方式のMRI装置(0.5テスラー以上)により記録されたMRI画像を対象とすることにした。今回この研究に利用できた日本大学の脳疾患症例数は96例:『内訳は、前脳・小脳・脳幹病変9例(9.4%)、前脳・小脳病変10例(10.4%)、前脳・脳幹病変10例(10.4%)、小脳・脳幹病変6例(6.3%)、前脳病変55例(57.3%)、小脳病変6例(6.3%)、脳幹病変0例(0%)』、麻布大学の脳疾患症例数は78例:『内訳は,前脳・小脳・脳幹病変5例(6.4%)、前脳・小脳病変0例(0%)、前脳・脳幹病変4例(5.1%)、小脳・脳幹病変8例(10.3%)、前脳病変43例(55.1%)、小脳病変2例(2.6%)、脳幹病変4例(5.1%)』、日本獣医生命大学の脳疾患症例数は266例:『内訳は,前脳・小脳・脳幹病変12例(4.5%)、前脳・小脳病変6例(2.3%)、前脳・脳幹病変23(8.6%)、小脳・脳幹病変10(3.8%)、大脳病変147(55.3%)、小脳病変7(2.6%)、脳幹病変21(7.9%)、末梢前庭病変34例(12.8%)、その他9例(3.4%)』であった。いずれの大学においても, MRI所見から想定される臨床所見・神経学的検査所見とは異なる臨床所見・神経学的検査所見の認められる症例が確認された。これらは局所診断学確立のための今後の研究の重要な検討課題となる。今後データ数をさらに積み上げていく必要があるが,今回の研究により,犬のMRI局所診断学確立への第一歩を踏み出すきっかけを作ることができたと確信している。
【研究代表者】