革新的遺伝子操作技術を利用した植物ウイルス宿主特異性の分子解体
【研究キーワード】
植物ウイルス / ファイトプラズマ / 宿主特異性 / ファイロジェン
【研究成果の概要】
本研究では植物病原細菌ファイトプラズマのエフェクター機能の解明と、それを利用した革新的遺伝子操作技術の開発ならびに近年蓄積される植物ゲノム情報などを駆使して、植物ウイルスの宿主特異性メカニズムを感受性、抵抗性の両面から分子レベルで解体し、宿主特異性の全容解明を目指す。令和3年度は以下の研究を実施した。
1.ファイトプラズマの花葉化エフェクターファイロジェンの機能解析
ファイロジェンは植物の花を葉に変える植物病原細菌ファイトプラズマ由来のエフェクターである。ファイロジェン、MADS転写因子ならびにプロテアソーム輸送タンパク質であるRAD23の三者間相互作用を解析するとともに、MADS転写因子分解におけるユビキチンの局在解析を行った。その結果、MADS転写因子とRAD23がファイロジェンを介して相互作用し、三者からなる複合体が形成されること、この複合体がプロテアソームとも相互作用していることが分かった。従って、ファイロジェンはユビキチンの代わりに標的MADS転写因子とRAD23との相互作用を直接仲介することで、標的因子のユビキチン非依存的なプロテアソーム分解を誘導すると考えられた。
2.植物ウイルス感受性機構に関する研究
研究代表者らはポテックスウイルスの感染を促進する感受性遺伝子EXA1を同定済みである。EXA1を欠損した植物では単細胞レベルでウイルス複製が極めて強固に阻害されることから、EXA1はポテックスウイルス複製におけるキーファクターであると考えている。そこで、EXA1を用いた酵母two-hybridスクリーニングを行い、EXA1と結合する植物遺伝子の網羅的同定を試みた。その結果、多数の遺伝子が単離されたことから、EXA1は植物ウイルス感染促進を含む様々な反応に関与しているものと推定された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
前島 健作 | 東京大学 | 大学院農学生命科学研究科(農学部) | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2021-04-05 - 2025-03-31
【配分額】41,730千円 (直接経費: 32,100千円、間接経費: 9,630千円)