水溶性セロウロン酸の特性解析
【研究分野】林産学
【研究キーワード】
セルロース / TEMPO / 酸化 / ポリウロン酸 / 機能化 / ガスバリヤ性 / 生物分解性 / ヘキセンウロン酸 / ヘキセンウロン / ラジカル捕捉剤 / アルデヒド基 / カルボキシル基
【研究成果の概要】
1.再生セルロースに対してTEMPO触媒酸化反応機構を行った場合に水溶性のポリウロン酸であるセロウロン酸が生成するまでの中間段階の機構を、水溶性デンプンをモデル物質として酸化度を段階的に調整した試料を作製し、NMRでそれらの化学構造解析することにより詳細に解析した。その結果、アルカリを消費する段階で、既に最大で40%程度のC6位のアルデヒドの存在が確認され、それらを経てカルボキシル基への酸化が進むことが明らかになった。
2.セルロースからセロウロン酸調製時の低分子化を制御するためにその機構を検討した。その結果、反応段階で生成するヒドロキシラジカルにより低分子化すること、ある種のラジカル捕捉剤により低分子化の程度を制御できることが明らかになった。また、調製したセロウロン酸水溶液に段階的にメタノールを添加することにより、高分子量のセロウロン酸を分別沈殿によって分画して得る方法を確立した。
3.TEMPO以外にも10種類程度のニトロキシルラジカルが市販されており、それらをTEMPOの代替とした際に得られる酸化物の化学構造、収率、重合度を検討した。その結果、一部のTEMPO関連ニトロキシルラジカルを用いることにより、反応時間を短縮することができ、より高い重合度のセロウロン酸を得ることができた。しかし、セルロースの分子量低下を完全に制御することは不可能であった。
4.天然セルロースのTEMPO触媒酸化反応を詳細に検討した結果、完全に水溶性のセロウロン酸にまでは至らないが、非晶部分はTEMPO触媒酸化が進行し、水溶性のセロウロン酸が最大で20%程度生成することが明らかになった。しかし、不溶残渣部分はセルロースIの結晶構造を維持しており、結晶領域内への酸化は大きな抵抗性を示した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2001 - 2002
【配分額】3,600千円 (直接経費: 3,600千円)