森林資源調査におけるGPS利用の高度化
【研究分野】林学
【研究キーワード】
GPS / 森林管理 / 相対測位法 / 測地座標系
【研究成果の概要】
GPSの森林管理業務への実用化をすすめるために、相対測位法を利用した測位実験を東京大学北海道演習林においておこなった。相対測位法には、GPS衛星からのコード信号を利用するトランスロケーション測位法と、搬送波の位相を利用する干渉測位法がある。手法により期待できる精度や測位環境の制限などに違いがあるので、可能な手法についてその精度と作業効率を検討した。その結果をまとめると以下のようになる。
・干渉測位のCarrier Phase Differential(CPD)では、2D:0.8m、3D:1.3m以下の平均誤差で測位をおこなうことが可能である。この精度は単独測位の30倍以上であるが、反面作業効率は3分の1以下である。測位環境にも厳しい制約がかかってくるため、あらかじめ測位地点の選定をおこなうこと、現場では周囲の状況と衛星配置状態の照らし合わせを行いすばやく使用可能衛星を判断すること、といった作業が必要となる。
・ギャップのある森林内では、Psuedo Range Differential(PSD)またはPosition Differential(POD)といったトランスロケーション法で測位をおこなうことは可能である。しかしその精度は、PSDでは2D:3.0m、3D:5.1mでCPDの1/4、PODはさらに悪く安定性にも欠ける。作業効率は受信状況にもよるが、単独測位の2/3程度で、測位条件もCPDほど厳しくないのでラフな測量には適当である。
・サブメーターの誤差を議論するためには、測地座標系の変換が必要となるが、標高についてはジオイドとエリプソイドの差はほとんどないことが確認された。
・トランスロケーション測位では、2地点での使用衛星を一致させないと単独測位よりも精度が悪化する。したがって、森林を含む地域でサブメーターの精度の測量をおこなう場合は、CPDで主な地点を測位しておき、その間は従来の地上測量を併用すると行った手法が最も現実性の高いやり方となると考えられる。
【研究代表者】
【研究種目】奨励研究(A)
【研究期間】1994
【配分額】900千円 (直接経費: 900千円)