オプトジェネティクスを用いた神経血管連関における微小血流調節機序と虚血時の反応性
【研究キーワード】
オプトジェネティクス / 脳微小循環 / Neurovascular unit / 脳虚血 / 神経科学
【研究成果の概要】
脳内ではニューロン・グリア細胞・微小血管は神経血管連関(Neurovascular unit (NVU))を形成し、相互に連絡を取り合っている。NVUを構成するニューロン、アストロサイト、血管平滑筋、ペリサイトなどの脳微小循環調節における役割を解明するため、オプトジェネティクス手法を用いてNVUを構成する特定の細胞種だけに光感受性膜タンパク質・チャネルロドプシン2(ChR2)を発現させたマウスを用い、非侵襲的に細胞特異的に光刺激を加えて細胞を賦活し、脳微小循環調節機序を詳細に検討することを目的とする。
ChR2をニューロンあるいはアストロサイトに発現させたマウスをウレタンで麻酔し、波長460nmのLEDを用いて直径0.5mmの範囲で頭蓋上に光照射することによって当該細胞のみを賦活化し、レーザースペックル血流計を用いて大脳半球表面の血流を連続的に記録した。光刺激によりいずれも光強度依存的に脳血流は増大し、照射部位より広範囲への伝播が認められた。一部の頭頂骨を除去して各種神経阻害薬を滴下、浸潤させることによる薬理学的手法を用いて、血流調節に関わる機序が異なることを明らかにした。次に、二光子顕微鏡を用いて脳微小血管の挙動を検討した。水銀ランプ(波長470~490nm)により脳表への光刺激を施し、脳表から深さ0-400μmの範囲で脳表軟膜動脈および実質内穿通動脈の刺激前後の口径を解析した。アストロサイト刺激時は脳表から実質内動脈で一様に拡張したが、ニューロン刺激時には脳表動脈と比較し実質内動脈でより顕著に拡張することを明らかにした。
次に血管平滑筋(PV-ChR2)あるいは血管平滑筋とペリサイト(NG2-ChR2)にChR2を発現したマウスを用い、光照射によって脳血流の低下とその伝播、動脈の顕著な収縮反応を確認した。その反応は血管の太さ、分岐レベルによって差異があることを明らかにした。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
畝川 美悠紀 | 慶應義塾大学 | 医学部(信濃町) | 研究員 | (Kakenデータベース) |
伊澤 良兼 | 慶應義塾大学 | 医学部(信濃町) | 講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)