超高精度フォーメーションフライトと補償光学による合成開口望遠鏡の地上実証
【研究キーワード】
フォーメーションフライング / 能動光学 / 補償光学 / リモートセンシング / 小型衛星
【研究成果の概要】
本研究では、静止軌道周辺に超小型衛星を配置することで高空間分解能と高時間分解能を両立する「静止リモセン」の学術分野を切り開くことを目指し、複数の超小型衛星が共同して光学系を構成する「合成開口望遠鏡」の実現手法を提案する。そのためのキー技術は超高精度フォーメーションフライト、能動光学、補償光学と、これらの協調制御である。本研究では要素技術を確立し、「合わせ技」による合成開口望遠鏡の地上実証を行うことを目的とする。2021年度は、各要素技術とシステム設計に関する検討を進めるとともに、2年目以降の研究に向けた地上実験システムの開発を行った。
要素技術の研究として、第一に、超高精度フォーメーションフライト(FF)によるmm級精度の達成には、どのようなセンサやアクチュエータ、アルゴリズムが必要であるかの検討を進めた。
第二に、能動光学を用いたμm級精度の達成に向けて、合成開口望遠鏡を構成する分割鏡を直接制御する能動光学によって光学系の相対精度を高める手法を検討した。具体的には、数学モデルによる光学要素の位置・姿勢誤差の画質への影響、ピエゾアクチュエータを用いた鏡の制御手法、レーザー干渉変位計を用いた高精度の測定に関する検討を行った。
第三に、補償光学を用いた観測波長の数分の一の精度の達成に向けて、デフォーマブルミラーと波面推定手法とを用いた調整手法に関する検討を行った。具体的には、スパースな主鏡に対する波面推定および波面補正手法と、光学定盤上の実証実験手法を検討した。
システム設計に関する研究としては、熱数学モデルを構築し、軌道上の環境を考慮した熱設計、機器配置に関する検討を行った。
さらに、2年目以降の地上統合実験に向けた、合成開口実験システムの設計、開発を行った。初期実験の結果、実験システムの妥当性を確認した。
【研究代表者】