ジャイロトロンを用いたミリ波放電デトネーションの研究
【研究キーワード】
エネルギー全般 / ミリ波 / プラズマ / 航空宇宙工学 / 放電 / ジャイロトロン
【研究成果の概要】
(1)94 GHz ジャイロトロンを使用した大気ミリ波放電試験:超電導コイルと真空管の相対姿勢について100マイクロメートル精度でアライメント調整を行い、発振出力を増大した。加えて従来、発振中の真空度上昇に起因するアーク放電により、電極電圧40 kV, 発振パルス幅10 μsに制限されていたが、真空配管の改善とイオンポンプの導入により、電極電圧45 kVにて、300 μsを超え、繰り返し周波数1 Hzを超える準定常発振を達成した。その結果、発振ミリ波強度の正確な評価と、100 mmを超える長さのミリ波放電進展の観察が実現し、放電構造が遷移する様子の撮影に成功した。また、ミリ波強度分布について、従来の測定手法では強度の積分値と、強度分布形状の2回の測定が必要であった。樹脂製の厚板吸収剤と熱伝導計算と感温液晶を組み合わせ、1回の測定で強度分布を簡便に測定する手法を確立した。
(2)デトネーション伝播現象解明のための数値解析:2次元CFDコードを発展させ、より現実に近い円筒形状の推進器におけるミリ波支持デトネーション流れが計算された。また、ミリメートルスケールで生じるプラズマの微細構造に注目した2次元CFD計算によって、振動-並進温度の非平衡流れが生じ、従来の化学デトネーションとは異なる位置に衝撃波が発生することを示した。
(3)マイクロ波ロケットの打ち上げ軌道解析:昨年度の解析により、28 GHzをはじめとする低周波数のミリ波での打ち上げがコストを最小とすることが示された。実績(1)に記す94 GHzにおける放電進展観測の結果によって、ミリ波放電進展速度が周波数によって変化する様子が確かめられたため、その影響を考慮して推進性能を再評価することで、より高周波でのミリ波を用いた打ち上げが最適となることが示唆された。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2024-03-31
【配分額】17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)