光刺激と化学刺激の多重協働活性化を活用した高機能材料群の創成
【研究キーワード】
マイクロパターニング / ソフトマテリアル / 弾性率 / 発光性材料 / π共役化合物 / 発光
【研究成果の概要】
光加工性材料は大面積に対するマイクロスケールの精密加工や遠距離からの加工が可能という点で高い汎用性を有し、医療・電子・プロセス工学など多岐にわたる分野での応用が期待されている。しかし、光加工可能な材料は光に不安定という根源的なトレードオフ問題を抱えており、環境光によって材料が変性するなど、材料を長期に利用し続ける困難であり、光加工した材料は実材料として利用しにくいという本質的な障害を有していた。
本研究では、この問題を解決するための方法論として、光のみではなく化学刺激の共存下でのみ加工可能な「多重協働活性化」を着想した。加工時には光と化学刺激を用いた多重協働活性化によって光加工を行いつつ、加工後は化学刺激を除去することで、光加工性と光に対する安定性を両立可能である。
本年度は、π共役骨格を拡張した白金アセチリド錯体を導入した高分子ゲル材料において、多重協働活性化に基づくを用いた材料の機能化と多様化を実現した。これを利用して、白金アセチリド錯体の開裂反応を利用して、三次元的な光変形と光安定性を両立する二層ゲル材料を作製した。光加工に無活性なpassive層と活性なactive層の各ゲルが重なる二層のゲルを作製したところ、本材料が酸と共に光照射されるとき、Active層のみで架橋が切断されてより膨潤することで、材料全体として変形が生じた。光の微細性の活用として、塩酸を含む試料に、斜め45°の縞模様の光パターニングを行ったところ、局所的な膨潤により、らせん形上に変化した。さらに塩酸を除去した後、その発光性から局所的な膨潤度を算出することで、材料は局所的に3倍程度の膨潤度を持たせることで、初めて明瞭ならせん構造を形成することが明らかとなった。したがって、本材料は膨潤などの局所的な物性を発光で定量することに成功した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)