日本統治下の旧植民地・占領地社会経済文化の変容
【研究分野】経済史
【研究キーワード】
早稲田大学社会学研究所 / 植民地 / 国策会社 / 満鉄 / 朝鮮 / 台湾 / 档案館 / 満州 / 満洲 / 東南アジア / 中国 / 関東軍憲兵隊 / 朝鮮総督府 / 台湾総督府 / 軍政
【研究成果の概要】
平成10年度に開始された早稲田大学旧社会科学研究所所蔵の植民地関連資料の整理、分類作業によって、それまで存在が知られていなかった貴重な資料が発見された。これらをマイクロ化し、研究の資とすることが可能となったことにより、その後の旧植民地・占領地におけるさまざまな活動の実態や政策決定過程の背景に関する研究の推進に大きく役立てることができただけでなく、研究資料を所蔵する国内外の図書館、資料館、公文書館等を含む多くの研究機関と情報の交換、共有を実現することができ、研究成果の導出にあたっては多くの貴重な示唆を得ることができたことは、予期せざる収穫であったといえる。
具体的には、満鉄関係資料をはじめとして、華北地域の日本占領地の経済活動、東南アジアにおける占領地行政等の資料整理や聞き取り調査を実施した。また、その他の植民地関係資料の分類と整理も完成し、文献の検索が非常に容易なものとなった。
こうした作業を通じて得られた学術情報は、国内外の研究者を交えての研究発表会を通じてさまざまな方面に公表することができ、また中国の各档案館など、大学、資料館、図書館などの研究機関と交流を行うことで、それぞれの植民地、占領地におけるさまざまな状況ないし実態をより実証的に検証することが可能となった。
こうした研究成果の発表にあたっては、できるだけ多くの国と地域から研究者を招いて、それぞれの研究成果を踏まえた上での意見交換を行うなどして、植民地研究について多方面からの視座を設定することが可能となった。
これらを踏まえて、平成12年に『近代日本と満鉄』と題する著書にまとめたほか、雑誌『世界』に研究成果を連載した。また、今後日本人の海外活動に関する歴史的調査の結果をもとに著書の刊行を予定している。
【研究代表者】