立地適正化計画導入に伴う地方都市の政策課題に関する地理学的研究
【研究キーワード】
立地適正化計画 / 地方都市 / 都市計画 / 郊外開発 / 空き不動産
【研究成果の概要】
本年度(2021年度)は、現地調査を通じて、地方都市における立地適正化導入における具体的課題を収集し、調査対象地域を絞り込むための現地調査を実施する予定であった。しかし、新型コロナ感染症の影響により年度内に予定していた現地調査の大半は次年度への繰り越しを余儀なくされた。このため、準備作業として主要な研究テーマに沿った文献収集とその検討を進めたが、その過程で次のような点が明らかとなった。
①コンパクトなまちづくりとは矛盾する、開発許可条例等を通じた市街化調整区域の住宅開発に関して、多くの地方自治体で立地適正化計画を導入後も開発許可の見直しを実施せず、事実上郊外部の開発が持続している。
②都市機能誘導施設の立地が期待される鉄道駅前や中心商業地に大型商業施設やオフィスビル等の撤退跡地が残存し、誘導施設導入の目処が立たない地方自治体が一定数存在する。
③国が都市機能誘導施設と位置づけている福祉関連施設にのうち、保育園など子ども福祉施設については地方自治体の通勤形態によって最適立地が異なること、通所型の高齢者福祉施設については居住誘導区域への立地を希望する地方自治体が多いことが判明した。
④立地適正化計画は市町村が策定の主体である一方、都市計画区域を単位とする政策の整合性が求められている。このため、一つの都市計画区域を共有する複数の市町村での調整や、合併市町村のように一つの行政区域に複数の都市計画区域を持つ場合の地域間調整が困難である。
これらの知見を2022年度の研究計画に反映させる予定でいる。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)