プラハとダブリン、亡霊とメディアの言説空間―複数の文化をつなぐ《翻訳》の諸相
【研究分野】ヨーロッパ文学
【研究キーワード】
アイルランド表象 / ナショナル・アイデンティティ / 亡霊文学 / オカルティズム/スピリチュアリズム / プラハのドイツ語文学 / 多言語状況 / メディア理論 / 翻訳理論 / プラハ / ダブリン / 超領域 / メディア / オカルト/心霊主義 / 翻訳 / 言語とナショナリズム / 英米文学 / 独文学 / チェコ文学 / 比較文学
【研究成果の概要】
多民族・多言語都市プラハとダブリンの複雑な状況下で生きていた作家たちが、本来は知覚不可能なはずの「亡霊」的なものを知覚させる「メディア」への意識を尖鋭化させていたことが確認された。その際に得られたとりわけ重要な知見は、19世紀末から20世紀初頭にかけて流行したオカルティズムやスピリチュアリズム(心霊主義)が、いわば「見えないものを見る」営みのお手本として、作家たちのアイデンティティ構築の軸をなしていたことである。
【研究の社会的意義】
本研究は、ともすれば怪しげなもの、迷信的なものとしてイメージされがちなオカルティズムやスピリチュアリズムの文化史的な意義を明らかにした。この点に、まず大きな意義がある。さらに、「亡霊」をめぐる文化現象と、写真や映画、蓄音機やタイプライター、電話や無線通信といった新しいメディアがもたらした社会的なインパクトを、モダニズム文学というレンズを通して一つの連続体として捉えることに成功したのも重要である。
【研究代表者】