半導体表面/界面における特異な電子フォノン散乱の起源の解明
【研究キーワード】
シリコン / ナノワイヤ / フォノン散乱 / 界面 / 表面 / 変形ポテンシャル / 電子フォノン散乱
【研究成果の概要】
本年度は主に、1)シリコンナノ構造界面におけるフォノン散乱の変調と2)金属系材料の抵抗率計算で進展があった。
1)シリコンナノ構造界面におけるフォノン散乱の変調については、昨年度まで実施していた分子動力学計算・強結合近似計算・量子輸送計算を連携した手法を用いて移動度の温度依存性を計算した。その結果、酸化膜で被覆されたシリコンナノワイヤ中の電子移動度の方が、水素終端シリコンナノワイヤ中の電子移動度よりも強い温度依存性を持つことを明らかにした。これは、昨年度までで判明した酸化膜被覆シリコンナノワイヤにおける電子移動度の劣化が、界面ラフネス由来ではなくフォノン散乱の変調であることを示唆している。一方で、ゲルマニウムナノワイヤに対して同様の計算を実施した場合は、酸化膜の有無は顕著な移動度変化を発生させなかった。これはシリコンとゲルマニウムの機械的特性の違いに起因していると予想されるため、今後検証を行う。
2)金属系材料の抵抗率計算では、本研究で開発した手法が別種の材料系でも適用可能かを検討した。白金ナノシートでは、表面に吸着した水素と酸素の量に依存して電気抵抗が変化するため、水素ガスセンサとして用いられる。しかし、フォノン散乱と吸着ガスによる散乱が共存する系を定量的に解析することは困難であった。本研究では、反応力場に基づく分子動力学計算・密度半関数計算・量子輸送計算を連携することで、半導体ナノ構造と同様にキャリア散乱を取り扱うことに成功した。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)