半導体量子リングと関連ナノ構造による電子と正孔の新制御法の開発と素子応用の探索
【研究分野】電子デバイス・電子機器
【研究キーワード】
量子リング構造 / 半導体ナノ構造 / GaSb / 第2種ヘテロ構造 / 量子閉じ込め / InAs / 量子ドット / 量子ロッド
【研究成果の概要】
本研究では、新電子素材として注目される10nm級の半導体細線やドット(粒)の研究を基盤に、円環状の量子リング構造の自己形成法を探るとともに、これらのナノ構造中の電子と正孔の量子状態を理論・実験の両面から解明し、それらを巧みに制御し、優れた機能を持つ素子への応用可能性を明らかにする研究を行った。まず、正孔のみを捕縛し、電子を排除する機能を持つ(GaAl)Sb系の第2種(TypeII)のナノ構造に着目し、Al組成の異なる(GaAl)Sbリングの自己形成手法を確立した。また、薄いGaAs量子井戸内に、正孔を捕縛できるGaSbドットを置き、電子をリング状に周回させる構造を考案・解析し、系内に独特の電子や励起子状態が生じることを示した。なお、GaSbドットは、成長条件次第で、ロッド状に形状が制御できることを見出した。GaSb系ナノ構造の物性と素子応用に関しては、リング内の角運動量を異にする量子状態を用いると、多極子が関与した電磁波発生素子の可能性があることを解析的に示した。また、GaSb量子ドットにより光励起で作られた正孔を捕縛することで、ドット近傍の伝導チャネルの電流を制御する光検出器を実現し、その特色を示した。上に記したGaSb系ナノ構造に加え、(InGa)As系ナノ構造の研究も進め、GaAs(111)B面近傍の微傾斜基板を用いると、約20-40nmの周期で、ドットを基板全面に規則配列できることを見出すとともに、単一InAs量子ドットに微細電極を設け他素子で、スピンを反映したユニークな単電子伝導などが観測されることなども見出している。さらに、量子細線内の電子や励起子の多体効果を理論・実験の両面から調べ、量子細線のレーザ利得に大きな影響を及ぼすことなども示した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
平川 一彦 | 東京大学 | 生産技術研究所 | 教授 | (Kakenデータベース) |
秋山 英文 | 東京大学 | 物性研究所 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2005 - 2007
【配分額】43,030千円 (直接経費: 33,100千円、間接経費: 9,930千円)