多孔性金属錯体を用いた高分子の精密認識・分離
【研究キーワード】
多孔性金属錯体 / 高分子 / 分離 / MOF
【研究成果の概要】
多孔性金属錯体(MOF)は、骨格内に細孔を無数に有しており、構成要素を適切に選択することで、細孔のサイズや形状、表面環境を分子レベルでデザインすることができる。特に、複数種類の有機配位子から合成される固溶体MOFでは、配位子の配合を変化させることで細孔特性を自在に調整できる。本研究では、MOFの高いデザイン性を活かし、固定相として利用した高分子化合物のカラムクロマトグラフィー法の開発を行った。
これまでの研究により、ポリエチレングリコール(PEG)鎖が約0.57 nm径の一次元細孔を有するMOF (1) ([Zn2(ndc)2(ted)]n, ndc = 1,4- naphthalenedicarboxylate, ted = triethylenediamine)の細孔内へ浸入し、吸着されることがわかっている。本研究では1を固定相とするカラムを作成し、一般のHPLC装置を用いてPEGに対する保持を測定した。結果、1へのPEGの吸着に起因する明確なカラム保持が見られた。一方、[Zn2(ndc)2(ted)]nと同一の母骨格構造をとる、MOF (2)([Zn2(bdc)2(ted)]n, bdc = 1,4-benzenedicarboxylate)やMOF (3)([Zn2(adc)2(ted)]n, adc = 9,10-anthracenedicarboxylate)を固定相としたカラムはPEGに対し一切保持を示さないことが明らかになった。
次に、配位子を様々な配合で混合した固溶体を合成し、そのカラム上におけるPEGの保持挙動を調査した。この固溶体MOFをカラムに充填し、PEGを分析したところ、中間の固溶体組成においてそれぞれ単独のMOFを充填したカラムよりも強い保持が観測された。この結果より、固溶体内部の平均細孔サイズがPEGの保持挙動に影響していると考えられる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
細野 暢彦 | 東京大学 | 大学院工学系研究科(工学部) | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2021-04-05 - 2025-03-31
【配分額】42,640千円 (直接経費: 32,800千円、間接経費: 9,840千円)