非発光再結合準位分布の2波長励起による汎用定量分光計の開発
【研究分野】応用物性・結晶工学
【研究キーワード】
フォトルミネッセンス / 非発光再結合準位 / GaN / 紫外・青色発光材料 / 量子井戸 / 量子ドット / 量子井戸構造
【研究成果の概要】
(1)2波長励起フォトルミネッセンス測定系の整備拡充
可視〜近赤外域での波長連続可変励起源と受光系、励起光およびPL強度分布測定用CCDカメラを備えた測定系を新たに整備拡充し、汎用の2波長励起フォトルミネッセンス測定系を構築した。
(2)プラズマMBE成長試料の禁制帯内準位測定
ハノーバー大学で成長されたプラズマMBE成長GaN/AlGaN量子井戸構造半導体試料の準位測定を行い、GaN/Al_<0.12>Ga_<0.88>N量子井戸構造では十分なバッファ層(780nm厚のAl_<0.50>Ga_<0.50>N)の挿入及びSi添加、またGaN/Al_<0.43>Ga_<0.57>N量子井戸構造では量子井戸周期(すなわちヘテロ界面数)の増大により、発光層の結晶性が改善されることを示した。さらにSi選択ドープGaN/Al_<0.43>Ga_<0.57>N量子井戸構造は、移動度が高い上に発光効率にも優れることを実証した。
(3)欠陥生成前後の2波長励起フォトルミネッセンス観測
GaN/Al_<0.12>Ga_<0.88>N量子井戸構造の測定途中で、不可逆的なPL強度低下と禁制帯内励起効果の減少を観測した。これは紫外光励起による表面欠陥準位の生成を初めて捉えたものであり、新たな準位を従来の2準位モデルに組み込むことによって説明し得ることを明らかにした。
(4)InAs(3原子層)量子ドット試料を用いて2波長励起PL測定を行い、trap-filling効果を含め準位を初めて観測した。BGE効果の温度依存性から、量子ドットでのキャリア再結合過程の手がかりが得られた。またY_2O_2S : Eu等の蛍光体材料に本手法を適用し、熱ルミネッセンスとの組み合わせによって従来分離不能であった準位の分離測定に成功した。
総じて研究実施計画に基づき、本手法の拡充、波及範囲拡大が可能となった。
【研究代表者】