Na+,K+-ATPaseによるK+選択的結合機構の構造生物学的研究
【研究キーワード】
Na+,K+-ATPase / 能動輸送 / K+選択性 / X線結晶構造解析 / 電子顕微鏡単粒子解析 / イオン選択性
【研究成果の概要】
Na+ポンプ(Na+,K+-ATPase)によるK+輸送機構、すなわち2個のK+がどのように選択的に結合するとともに脱燐酸化反応が進行し、細胞外ゲートが閉じて、細胞内ゲートが開くのか、を原子レベルで明らかにすることを目的としている。
今年度は既に得られていたK+結合前の燐酸化状態(E2P状態)の結晶にK+のcongenerであるRb+を様々な濃度で添加して回折測定を行い、Rb結合過程を解析した。その結果、1個のRbを結合した結晶構造を得ることができた。また、Rb結合はE2P状態を安定化する強心配糖体の種類によって変わりうることが分かった。
生化学的特徴が異なる2つのE2P、すなわち、ATPを用いて正反応から得たE2P(E2P(ATP))と無機燐酸Piを用いて逆反応から得たE2P(E2P(Pi))がある。E2P(Pi)については結晶解析に成功していたが、E2P(ATP)については結晶化できていなかった。そこで、今年度はE2P(ATP)単独をはじめ、強心配糖体を結合したE2P(ATP)などのクライオ電顕単粒子解析を行った。その結果、近原子分解能でそれらの構造を決定し、E2P(ATP)とE2P(Pi)の生化学的特徴の違いを原子レベルで明らかにすることができた。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)