中国道教における聖地と巡礼に関する総合的調査と研究
【研究分野】中国哲学・印度哲学・仏教学
【研究キーワード】
中国宗教 / 山岳信仰 / 洞窟 / 神仙 / 歴史地理 / 宇宙論 / 民間宗教 / 国際学術交流 / 道教 / 洞天 / 聖地 / 巡礼 / 洞窟信仰 / 景観 / 洞天福地 / 地方神 / 中国宗教思想 / 民間信仰 / 思想史
【研究成果の概要】
本研究は、道教で洞天福地とされる聖地に対する信仰と巡礼、そこにある道観との関係を考察し、山岳でおこなわれた道教相互のネットワークおよびその歴史的展開を研究した。複数の洞天に対する基礎的な調査を進め、その調査の整理と文献研究との対照をおこなった。
その成果として、『洞天福地研究』第7・8号(計2冊、192頁)を発行した。第7号では6本の論文、第8号では5本の論文を発表した。その他に、2017年3月にパリでフランス・中国の研究者との国際学術会議「第2回日仏中国宗教研究者会議:中国宗教における聖地と巡礼」を開催し、日本からは17人が参加した。成果の論文はいま編集中で、パリで出版する予定である。
【研究の社会的意義】
本研究は、従来あまり研究されていない「中国における聖地と巡礼」という研究領域を確立した。宗教空間の問題から出発し、研究領域の枠組みに拘わらない総合性を達成した。文献以外に、景観や自然環境、宗教施設(建築・彫刻・絵画)、宗教実践(巡礼、修道、儀礼)などを考慮した研究となった。それゆえ、研究の学際性を備えたとともに、国際性をも追求した。清華大学の主導により、世界文化遺産への申請準備をしている。また、中国とフランスの研究者を招いた会議を開催した。このような学術的な協働は、中国の聖地の環境保護ととともに、日本の道教研究および中国研究の国際化と若手育成に大きく貢献している。
【研究代表者】