ファセット面の現れる結晶成長の数理解析
【研究分野】解析学
【研究キーワード】
ファセット / 表面エネルギー / 粘性解 / 等高面の方法 / 比較定理 / 非局所的曲率 / 曲率流方程式 / 非線形 / 拡散方程式 / ファセット面 / クリスタライン アルゴリズム
【研究成果の概要】
金属粒界のような結晶成長では、表面エネルギーに現れる異方性がしばしば重要な効果をもつ.特に、結晶の平衡形であるウルフ図形が平らな面(ファセット)をもつ状況を考えることは結晶成長の理論的研究のみならず、数値近似計算法を開発する上でも重要である.しかし、このような表面エネルギーが滑かでなくカドがある場合の方程式は特異性が強く、その意味を性格に認識することは困難であった.この問題を粘性解の理論を拡張することによって解析的に解の意味を厳密にとらえることを目指した.まず結晶面が一変数関数のグラフとして与えられている場合その表面エネルギーを滑らかな関数で近似して得られる解の極限としてカドのある表面エネルギーによる運動がとうくられることがわかった.(この近似定理はより一般の場の特別の場合として得られたものである.)この考え方は外力項が空間一様な場合は、なりたち結晶面が閉曲線の場合であっても、等高面法が拡張できることを示した、等高面能をカドのある表面エネルギーの場合に拡張することは、容易ではなく、特に基礎となる比較定理の証明には時間を要した.これについてはグラフの場合に本質的に帰番できることを見い出し解決した.この手法は曲面の運動を考える場合も有効であると各位sんしている。さて、曲線の運動の場合、外力項が空間的に一様であれば、ファセット面は維持できるが、曲面の運動や、外力項が空間非一様な場合は一般にファセットは維持できない.しかし、どのようにファセットがくずれていくのが滑らかな問題の極限として得られてうかについては、方程式が発散型の場合は予想がつき実際に、どのようにくずれていくかを解析できる.これについても、粘性解の理論を拡張できるかどうかは未知ではあるが、本研究により、そのような研究手法が有意義になりそうだということがわかってきた.
【研究代表者】