B中間子の精密測定による超対称性素粒子反応の研究
【研究分野】素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
【研究キーワード】
素粒子 / 加速器 / CP非保存 / 対称性 / 半導体検出器 / B中間子 / 標準理論 / 超対称性
【研究成果の概要】
1.B中間子CP非保存現象の精密測定による新しい物理の探索
中性B中間子がファイphi中間子とKS中間子に崩壊する過程のCP非対称度が、標準理論による期待値からずれている可能性を見つけた。本研究で1億5200万個のB中間子反B中間子ペアのデータから、1つの中性B中間子がphi中間子とKS中間子に崩壊する事象を68例見つけた。それらの事象について、時間に依存するCP非対称について測定を行なった。その結果、非対称度の測定値は、S=-0.96+-0.52で、J/psi KSの非対称度測定から得られているS=+0.733+-0.057+-0.028からずれている。このずれが新しい物理に起因するかどうか確定するには、更に統計精度を向上させる必要があるが、全く予想もしていなかった大変興味深い結果である。
2.中性B中間子のpi+pi-崩壊における大きなCP非対称の発見
中性B中間子の二つの荷電パイ中間子への崩壊は、CP非対称の出現が期待される崩壊モードの一つであるが、分岐比が10-6と小さく、かつグルーオンを含むプロセスからの寄与もあり、CP非対称かどうか決定することができなかった。本研究で統計精度の向上に成功し、約370個のpi+pi-崩壊を含むB中間子反B中間子ペアを用いてCP非対称パラメータの解析を行い、世界で初めてCP非対称を証明することに成功した。
3.B中間子の非常に稀な崩壊の測定
超対称性など標準理論を越える新しい物理の出現が期待されるbクォークの電子陽電子ペア又はミューオンペアへの分岐を世界で初めて測定した。我々は、2つのモードの平均として、(4.39+-0.84(+0.78-0.73))×10-6と決定し、新しい物理からの寄与に強い制限を与えた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
岩崎 昌子 (阿部 昌子) | 東京大学 | 素粒子物理国際研究センター | 助手 | (Kakenデータベース) |
田島 宏康 | 東京大学 | 素粒子物理国際研究センター | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2001 - 2003
【配分額】53,170千円 (直接経費: 40,900千円、間接経費: 12,270千円)