2原子種ボース凝縮体の相分離過程の可視化と動的スケーリング仮説の実験的検証
【研究キーワード】
量子エレクトロニクス / 冷却原子 / 量子縮退気体 / ボース・アインシュタイン凝縮
【研究成果の概要】
本研究では相互作用をクエンチした2原子種BECが作り出すドメイン構造の精密な評価を目指している。ドメインの時間変化を追う場合、同一サンプルに対して繰り返しイメージングを行うことになるので、測定自体によるドメイン壁の移動量等の評価は重要である。BECの時間発展を記述するグロス・ピタエフスキー方程式に量子弱測定の効果を取り込むことで、数値計算でイメージングの影響を定量的に取り込むことに成功した。一様な一次元リング状の境界条件でBECに対して位相コントラストイメージングが与える反作用を評価したところ、斥力を与える相互作用の散乱長が大きいほど、ドメイン壁の変位量も大きいことが分かった。得られた結果は日本物理学会秋季大会で発表された。
昨年度から進行しているBEC生成装置の大幅な改良も進行している。ルビジウムとカリウムという2原子種共存のもとで、2次元MOT(磁気光学トラップ)が正常に稼働することも確認できた。ルビジウムと同じセルでカリウム41の存在比を95%まで高めたアンプルをうまく動作させられるか懸念はあったが、正常に動作することが無事確認できた。
竹内は,ドメイン形成の秩序化過程の統計則に異常を生む原因となるケルビン・ヘルムホルツ不安定性(KHI)に関して、数値シミュレーション上で2流体間の界面の厚みと相対速度をパラメータとして大きく変化させることで、KHIによって様々な界面模様が形成されることを発見し、その相図を理論的に作成した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
竹内 宏光 | 大阪公立大学 | 大学院理学研究科 | 講師 | (Kakenデータベース) |
藤本 和也 | 東京工業大学 | 理学院 | 助教 | (Kakenデータベース) |
加藤 宏平 | 大阪公立大学 | 南部陽一郎物理学研究所 | 特任助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)