複雑な系の上の異常拡散現象の解析
【研究分野】解析学基礎
【研究キーワード】
確率論 / 複雑系 / 数理物理 / 解析学 / ポテンシャル論 / 統計力学
【研究成果の概要】
1。熊谷とCroydonは、Barlow氏と共同で二次元一様全域木の上のランダムウォークの熱核評価に現れる振動等の詳細な性質を調べ、さらに熱核のannealedの評価における非対角部分の指数がquenchedのそれと異なることを解明した。熊谷はまた、拡散項とジャンプ項からなる一般の対称確率過程について、対応する熱方程式の解が放物型ハルナック不等式や精密な熱核評価を持つための必要十分条件を導き出した。本研究は、対称拡散過程や飛躍型確率過程の場合に進められてきた安定性理論の統一版であると言える。この結果は、Z.Q. Chen氏とJ. Wang氏との共著論文にまとめ、2020年度に雑誌に掲載された。
2。木上は、自己相似集合の Ahlfors regular conformal dimensionと対応する無限グラフの parabolic index の関係および自己相似集合上への p-energy の構成について研究し、parabolic index とAhlfors regular conformal dimensionの間の不等式などを示した。
3。相川は、intrinsic ultracontractivity の研究を応用して、Lipschitz領域やJohn領域をベースにするシリンダー上の熱方程式の優解の可積分性を与えた。これは正値優調和関数の可積分性に関する結果の放物型拡張である。
4。福島はS. Junk氏と共同で,ランダム媒質中の向きづけられた高分子模型の零温度極限の研究を行い、自由エネルギーの連続性を示した。舟木は、Glauber-零レンジ過程から平均曲率運動の導出を行った。これは非線形な拡散項を経由するため偏微分方程式の観点からも新しい結果である。
【研究代表者】