非線形放物型方程式系と関連する楕円形方程式系の研究
【研究分野】解析学
【研究キーワード】
反応拡散方程式 / Lotka-Volterra型 / 正値定常解 / 分岐 / 安定性 / p-ラプラシアン / Lotka-volterra型 / 比較定理 / Lotka-Volterraモデル / 強最大値原理 / 定常解
【研究成果の概要】
本研究の主たる成果は反応拡散方程式の解集合の構造と個々の解の形状に関わる以下の2つのテーマに分類される。
(1)cross-diffusion項を含む反応拡散方程式系の解析:ここではLotka-Volterra型の競合関係をモデルとする反応項とcross-diffusion項と呼ばれる拡散項からなる方程式系を扱った。数理生態学分野に現われる方程式であり、数学的に重要な課題は時間大域解が存在するための十分条件を確立すること、および共存解として大きな意味がある正値定常解集合の構造を知ることである。非定常問題に関しては空間次元が1および2の場合に、大域解の存在条件を得ることができた。また、定常問題については同次Dirichlet境界条件下で正値定常解が存在するための十分条件を調べるとともに、その一意性・非一意性を理論的および数値解析的に調べた。その結果、相互作用の係数が一定の条件をみたせば正値解が2個以上存在し得ることが理論的に明らかになった。さらに数値解析によれば、空間次元が1の場合でも半自明解から対称な正値解の分岐、さらに対称分岐解から非対称な共存解の分岐というように、解集合は非常に複雑になることが示された。これは理論的には未解明であり、今後解明していかなければならない。
(2)pラプラシアン項と反応項からなる準線形放物型方程式の解析:pラプラシアン項はその非線形性と退化性があいまって解析に困難を伴う一方、線形拡散とは大きく異なる非線形現象がもたらされる。この研究では定常問題の解集合の構造について、空間次元1の場合のみならず、高次元の場合もかなり詳しく情報が得られるとともに、解の形状についてもフラットハットと呼ばれる退化型拡散特有の性質・形状が調べられた。また、非定常問題に関して解の時間空間的変化についても従来知られていなかった結果を示すことができた。
【研究代表者】