分散方程式と調和解析学の研究
【研究キーワード】
分散方程式 / 漸近解析 / 調和解析 / 変分解析 / 函数解析
【研究成果の概要】
当該年度も引き続きCOVID-19の影響により、研究代表者・分担者・協力者がピサ大学および早稲田大学に集まることは叶わず、研究遂行上に大きな支障となった。しかし、このような状況下でも、オンライン会議を用いて進捗状況・途中経過・部分的成果等を共有し、活発に意見交換を行うとともに、今後の研究の方向性について検討を重ねることで、一定の成果を得る事ができた。具体的に述べると、次の通りである。
楕円型方程式の解析の基礎を支えるポワンカレの不等式に関しては、等式の枠組で定式化し、その剰余項を用いた最大化函数の非存在の新しい証明を与えた。
トーラス上の非線型シュレディンガー方程式に関しては、今までほとんど取り上げられていなかったゲージ不変でない二次の自己相互作用の研究に着手し、一次元トーラスの結果の多次元化を進めている。手始めに、二次元の問題について、大域解の非存在につながる初期データのクラスについての部分的な結果が得られたので、引き続き一般化を検討する計画である。
量子マスター方程式に関しては、「マクスウェルの悪魔」と呼ばれる現象の新たな定式化に、この方程式の解析が有効であることを見出し、電流制御の視点から理論体系を完成させた。
流体の速度場を記述するブリンクマン・フォルシュハイマー方程式系として知られている二重拡散移流方程式系に関しては、3次元および4次元の全空間において、時間周期解の存在を示し、考える領域の有界性が本質的でないことを実証した。
【研究代表者】