ディリクレ形式に基づく確率解析の研究―空間構造と特異性の解明―
【研究キーワード】
ディリクレ形式 / 確率解析 / マルコフ過程 / フラクタル / マルコフ課程
【研究成果の概要】
当該期間の研究実績の概要は以下の通りである。日野は,滑らかとは限らない境界を持つ領域上の非リプシッツ係数反射壁確率微分方程式の研究を行い,解の存在と一意性について従前より一般的な結果を得た。
楠岡は,指数関数を相互作用に持つ確率場とその流れの構成について研究を行った。近年研究が盛んな特異確率偏微分方程式の手法を用い,確率量子化方程式の解として確率場が作る流れを構成し、以前から知られていたディリクレ形式から得られる流れとこの解が一致することを示した。
竹田は,ディリクレ形式を主要部に持つシュレディンガー形式に対して,その劣臨界性,臨界性,優臨界性の解析的特徴付けを,ポテンシャルを通して決まる時間変更過程の最小固有値によって与え,その応用として最大値原理やリューヴィル性の証明を行った。
上村は,対称安定過程のレヴィ測度に,原点や無限遠点において退化あるいは発散する密度を持った飛躍測度に対応するマルコフ過程の大域的性質を研究した。
会田は,補間過程を用いたラフ微分方程式(RDE)の解の近似誤差分布の漸近挙動を研究した。そのため,離散版の被制御パスを用いた誤差評価,RDEの解で定まる逐次積分のマリアバン微分可能性の新証明,分数冪ブラウン運動のウィーナーカオスの核関数の,短時間での高次元変動ノルムの正確な評価を与えた。
桑江は,リーマン多様体上のベクトル場VによるV-Laplace作用素を考え, Vに対応するm-Bakry-Emeryリッチテンソルをパラメータmが1以下の場合に起点及びmとVが絡んだ下限条件を与えたときに, V-Laplace作用素の比較定理を得た。副産物として, 起点に依存する形の重み付きMyers型定理, Bishop-Gromov型比較定理, Ambrose-Myers型定理, Cheeger-Gromov型分裂定理等を得た。また不変測度に近い測度を定めることに成功した。
【研究代表者】