「後発高等教育機関」の教育史的研究ー既存の法学・経済学教育に対する独自性の追求ー
【研究キーワード】
高等教育 / 大学史 / 経済学史 / 法学史 / 新制大学 / 高等商業学校 / 沖縄 / 女子教育
【研究成果の概要】
本研究の二年目となる令和3年度は,前年度同様,新型コロナウィルス禍の影響を受けつつも,前年に獲得した知見をベースに,各分担者それぞれが研究を前に進めることができたと評しうるだろう.令和3年度の研究においては,定性的なアプローチをその中心としつつも,合わせて部分的に,手法としてテキストマイニングを活用した,定量的な実践を行うことができており,定量的アプローチをベースに検討を進める,令和4年度における検討への足がかりができたといえる.
とりわけ,県立神戸高等商業学校の分析において,定量的なアプローチに着手することができた.令和3年度には,県立神戸高等商業学校の蔵書を対象として,そのタイトルの名詞・サ変動詞・地名等を抽出し,テキストマイニングによる分析を行うことができた.具体的な手法として,クラスター分析とクロス集計を行うことで,類似データの定点分析を行いつつ,データの構造についての時系列分析を進めた.そこで明らかにされた,県立神戸高等商業学校の蔵書の特徴は,まさしく県立神戸高等商業学校自体の特徴をも表すものであり,定性的分析を加えつつ,得た知見について,令和4年度には公表することを意図している.また,個々で用いた手法を,慶應義塾大学や琉球大学も対象として広げることにより,引き続き,定性的分析を補完するリサーチを拡大していきたい.
定性的な分析として,令和3年度には,琉球大学における法学実践の具体的分析を進めるとともに,県立神戸高等商業学校について,伊藤眞雄初代校長を軸とした検討をまとめ,公表にいたることができた.前者については,具体的な実践として,労働法学者である幸地成憲に着目し,その研究が同時代の「日本」におけるものと異なることが確認できた.また,後者については,「宜しくスマートたるべし」という教育理念が,どのように展開されていったのか,論文として公開に至っている.
【研究代表者】