マキアヴェッリとフィレンツェの政治文化-社会形成に〈神〉は必要か
【研究キーワード】
マキアヴェッリ / 政治思想 / 宗教 / フィレンツェ / 立法者 / 誓約 / 暴力 / 唯物論 / サヴォナローラ / 起源 / 共和国 / 人文主義 / 政治思想史 / フィレンツェ文化 / 宗教と政治 / ルネサンス / 政治文化
【研究成果の概要】
まず共同研究事業として、2021年7月2日(プレミーティング)、9月15日(定森亮氏の近著をめぐる本ミーティング)、2022年2月27日(本ミーティング 研究分担者村田氏の翻訳業績の論評会及び研究協力者村木数鷹氏によるイタリアにおける近年のマキアヴェッリ研究の状況についての報告)を実施した。
個別の業績としては以下の通り。研究代表である石黒盛久は、その思想形成上の転換点である1513年から1514年のかけての時期のマキアヴェッリの2通の書簡の翻訳・注解を行った。これらの書簡の記述には彼のキリスト教観や予言的説教師の活動に対する感想も含まれており、本研究にとっても有益な資料と言えよう。また喜田いくみとの共著として、イタリア・ルネサンス研究の世界的大家アリソン・ブラウンの著作The Renaissanceを『イタリア・ルネサンスの世界』の邦題のもと刊行した。
研究分担者の鹿子生浩輝は昨年度の活動の一端として、共同研究会における講演を招聘した定森亮氏の近年の著作について、長文の書評を公にしている。そこでの主題はマキアヴェッリとそれに続く世代の思想家モンテスキューの政治思想の、共通性と相違性の析出であるが、そこには当然この両思想家間の政治と宗教の関係についての考察も含まれている。同じく研究分担者の村田玲は、マキアヴェッリ解釈史において重要な地位を占める政治思想史家L・シュトラウスが自身の宗教観を開陳した重要な論考の翻訳を行った。それは当然彼によるマキアヴェッリの宗教観解釈にも多大な影響を与えるものであり、マキアヴェッリ政治思想における宗教の意義を考える本研究を進めていくにあたり、重要な成果であったと言えよう。
【研究代表者】