日本における共同研究開発活動の歴史的研究
【研究分野】経済史
【研究キーワード】
共同研究 / 共同開発 / 研究開発 / 産学協同 / 技術経営 / イノベーション / 科学技術動員 / 試験研究機関
【研究成果の概要】
本研究は、(1)民生用エレクトロニクス、(2)産業用エレクトロニクス、(3)機械工業、(4)化学工業、(5)エンジニア間ネットワーク、(6)産学協力体制、(7)共同研究政策、などの領域に分かれて、1961年までを対象に共同研究についての歴史研究を行った。
その結果、(6)では、工学系学術雑誌の異機関共同執筆論文データの作成から、日本での共同研究は1930年代から恒常的にみられるようになり戦時中に増加すること、戦後一旦減少するが1950年代には戦前以上の水準に達することなどを明らかにした。この推移自体、初めての発見であるが、とくに後者は戦後の産学関係の停滞を主張するこれまでの漠然とした通説を覆す結果となった。
この全体的推移をふまえ、(1)ではラジオ、真空管、(2)では半導体、(3)では工作機械、(4)では合成酢酸、(5)ではラジオ技術者、(6)では物理学者の産学共同の日米比較、(7)では日本学術振興会、研究隣組、学術研究会議、などの事例研究を行った。真空管と半導体の事例では、第一次大戦後の前者と第二次大戦後の後者とでは開発における社会関係が大きく変貌し、前者の初期にはなかった共同研究が後者では最初から重要であったことを明らかにした。その間には、日本学術振興会、研究隣組、軍などでの共同研究の促進があったことは明らかであった。ラジオ技術者たちのいわば草の根の共同も戦前から始まり、戦後に隆盛をきわめた。これらの事例研究からも、上記の論文データの推移からも、共同研究をめぐる社会関係は1930〜50年代に大きく変貌していったことが明らかであった。
【研究代表者】